成長を続ける組織において、従来のレイアウトや固定席中心の構成が、次第に業務実態と乖離していく中で、「今のキュービック様にとって最適なオフィスとは何か?」という問いが起点となったプロジェクトです。
個性的なコの字型をした500坪超の巨大なワンフロアを、部署やチームを跨いだ連携やコミュニケーションを加速させるため、斜めに配置した壁や用途の異なる家具などを使いながらゾーニング。部署ごとにエリアを設ける「グループアドレス」をベースにしながらも、多様な目的やスタイルに合わせて働く場所を柔軟に選べるオフィスに仕上げました。
また、個人ロッカーの位置をあえて1箇所に集中させて、メンバー同士のコミュニケーションを誘発する導線もデザイン。
ヒトカラメディアがディレクションを行い、キュービック様のデザイナーがデザインしたステンシルアートは、有志メンバーによるD.I.Yによって手掛けられ、空間の良いアクセントになっています。
コンセプト
本プロジェクトのコンセプトは、固定席ありきのオフィスから脱却し、日々変化する働き方を自然に受け止める器としてのオフィスをつくることにありました。
出社する理由が「自分の席があるから」だけではなく、「チームの熱量を感じ、その仕事をするのに適した場所があるから」になること。個人作業、即席の打ち合わせ、チームでの議論といった行為が、意識せずとも空間上で切り替わる状態を目指してつくられました。
ここで重要視されたのは、単なるフリーアドレス化ではなく、人の動きやコミュニケーションが自然に生まれる構造をオフィスの中につくることでした。
特徴
働き方の実態から設計を逆算
ハード面重視のオフィスづくりではなく、組織の在り方に寄り添う設計プロセスを重視しました。「どんな空間にしたいか」という外見の理想よりも先に、「今、組織で何が起きているか」という実態を解像度高く捉えることから始め、課題解決のための空間を追求しました。
組織の成長や働き方の多様化に伴い、チームの一体感醸成と部門間の連携強化が求められる中、オフィスを「集まるための拠点」として再定義。運用面では部署ごとの拠点を定めることで安心感を担保しつつ、空間としては回遊性を高める設計とすることで、偶発的な出会いと機能的な働き方の両立を実現しました。

グループアドレスによる「結束」と「柔軟性」の両立
島型デスクが規則正しく並ぶ構成から脱却し、デスクの向きや形状、距離感にあえてばらつきを持たせることで、個人作業から即席のミーティングまでが自然に混在する状態をつくりました。
現在は「グループアドレス(チームごとのエリア固定)」で運用されていますが、エリア内や共有スペースでは自由に場所を選べるため、「自席」に縛られすぎることなく、その時の業務に最適な環境を選択できます。「どこに座るか」を管理するのではなく、「チームでどう成果を出すか」にフォーカスできる環境へと、オフィスの役割が再定義されています。

「会議室不足」を部屋数を増やさず解決
多くの成長企業が直面する「会議室不足」の問題に対し、安易に個室を増やすのではなく、会議やちょっとしたミーティングのできるオープンスペースを増やすことで解決を図りました。
「あと5分で結論が出るのに」というタイミングで、会議室を予約者に譲り、そのまま会議室エリアの入口横のスペースへ移動して議論を完結させる。そんな、空間をまたいだシームレスな議論を可能にすることで、会議室の回転率と意思決定のスピードを同時に高めています。

動線設計による偶発的な出会いの創出
組織が大きくなるにつれて希薄になりがちな「部署を超えたつながり」を生むため、ロッカールームをあえてフロア中央の一箇所に集約させました。出社時や退勤時に必ず通る場所を共有することで、普段は業務上の接点が少ないメンバー同士が、自然と顔を合わせる機会が生まれます。
意図的につくられたこの「マグネット・ポイント(人が集まる場所)」が、雑談や軽い声掛けを誘発し、組織全体の風通しの良さを支えています。







