INTERVIEWオフィス空間
2025-11-26

「バランス力」で導く、理想と現実の接点。調和をデザインし、顧客の「売上拡大」を導くPMの挑戦。

飯田氏 / 株式会社ソーシャルインテリア

飯田氏 / 株式会社ソーシャルインテリア

空間デザイン事業本部 プロジェクト推進部

顧客の要望を叶えることは前提として、その先にあるのは、設計・施工・協力会社を含む「関わる全ての人」が前向きに取り組める場をつくること。バランス力を武器に、空間を通じて顧客の売上に貢献し続ける。
建築学部を卒業後、オフィス構築の営業、不動産仲介・リノベーション営業を経て、現在は株式会社ソーシャルインテリアでプロジェクトマネージャー(PM)として活躍する飯田氏。

サブスク家具事業の立ち上げから始まり、外部パートナーを活用したチームづくりを経て、PMとしてオフィス構築の最前線を支える。理想と現実のギャップを乗り越えながら磨かれた「バランス力」と、「顧客の事業成長への寄与」を軸に据えた提案哲学。その背景と実践について伺った。
(取材場所:飯田氏が手掛けているタイトー様オフィス)
 

1章 キャリアの原点と転機

1-1. オフィス構築営業からの出発


建築学部出身として、建物や空間に関わる仕事を志した飯田氏。新卒で入社したのは、様々な空間づくりを手がけるインテリア関連企業だった。

「カーテンやタイルカーペットといったメーカー機能を持ちながら、しっかりと土台が整った会社でまずは経験を積みたいと思いました。当時は営業職として、オフィス構築領域において売り上げを立てることがメインのミッションでした」

営業の現場で学んだのは、“空間は売るものではなく、提案するもの”という考え方。お客様の言葉にならない要望を掘り下げ、選択肢を示す。その姿勢が、後のPMとしての基礎になっていく。 

 

1-2. 成長を求め、真逆の選択へ


次に選んだ環境は、当時の従業員が4名程の不動産仲介会社だった。企業基盤の大きさを決め手にインテリア関連企業を選んだ一方で、「自身の貢献度合いが見えにくい」というもどかしさを感じ、思い切って転職に踏み切った。

「大きな会社では歯車の一部のように感じてしまい、自分の動きが会社にどう影響しているか分かりづらかったんです。だからこそ、今度は真逆の環境で自分の介在価値を発揮し、会社を動かす実感を持ちたかったんです」

2社目ではオフィス仲介に加え、リノベーション領域を担当。この新たなジャンルへの挑戦的な姿勢には、彼のキャリアに対するスタンスが現れている。
 

IMG_9936.jpg

2章 ソーシャルインテリアでの新たな挑戦

2-1. 家具のサブスク事業で感じた理想と現実


3社目に選んだのが、現職のソーシャルインテリア(当時カマルクジャパン)。当時は「家具のサブスク」という概念がまだ浸透していなかったが、1社目の時代から、家具を気軽に使えるプラットフォームに対する必要性を感じていた。

「好きなときに使って、好きなときに返せる。そんな理想的な仕組みをつくりたいと思っていました。ただ実際には、ビジネスを維持するためには様々な制約が必要で、理想の流れではビジネスが成立しないことを痛感しました」

その中で事業の舵を切り、メーカーから仕入れてきた家具を自社スキームに乗せて販売するモデルは、事業成長のターニングポイントになり、事業としての柔軟性を持たせることの必要性を学んだ経験にも繋がった。

 

2-2. 外部パートナーとのチームづくり


家具事業での経験を経て、新たなチャレンジを希望する中で、次に担当したのは「売上の効率化」を目的としたチームづくりだった。

「当時は採用で人を増やすのではなく、外部の営業代行会社やデザイナーと協業して、最小のコストで最大の売上をつくる体制を目指すことが急務だったんです。何もないところからのスタートだったので、自分で1から協力会社を探すことから始まりました」

最初は時間もコストもかかっていたが、もがきながら理想のチームに近づけていく。その中で常に意識していたのは、売上とコストのバランスにおける最適化だった。

「結果として、リソースの適材適所を実現することに繋がりました。目には見え難い成果ですが、今も別の担当が部署を引継いでくれて、社内でも目を引く部署になっています」

ゼロから手探り状態で進める中で、大切にしていたのは信頼関係の構築だった。外部パートナーとの関係性構築は極めて難易度が高かったが、この経験が現在PMとして動く中で、中核をなす考え方にも繋がっているという。

 

2-3. 新たなステージへ


オフィスPMの経験を持ったメンバーが社内に入ってきたことをきっかけに、それまで家具という特定領域での経験をメインに積んできた中で、空間全体を構築していくことへの憧れが芽生え、PMとしてのキャリアを築くことを決意する。

「オフィス移転やレイアウト変更の支援をする最終目的は、お客様の売上が拡大することです。そのプロセスに直接関わることができ、介在価値を実感できるPMに対してかっこよさを抱いたんです」

実際にPMとしての仕事は裏方的な要素も多く、関係者が多い中で全方位的に気を遣う場面も多い。しかし、これまでの多種多様なキャリアがあったからこそ、困難を乗り超えることにも繋がっている。

 

IMG_9854.jpg

3章 調和がもたらす顧客価値の最大化

3-1.  「全方位のバランス」が真の提供価値を生む


PMとして最初に担当したプロジェクトで痛感したのは、顧客の要望だけを満たしても本当の満足には繋がらないということだった。

「お客様のご要望のみを優先する御用聞きになってしまうと、設計や施工を担当する方々にとっての不満に繋がり、プロジェクトが上手く回らないことにも繋がりかねないんです。だからこそ、お客様はもちろんのこと、外部パートナーや社内の設計メンバーにも気持ちよく仕事をしてもらうためにバランスを取ることを大切にしています」

家具事業を担当していた頃に比べ、PMとして関わる関係者は格段に増えた。だからこそ、誰か一方に偏らず“全方位のバランス”を意識することの重要性を強く実感することに繋がった。そしてこの考え方は、ソーシャルインテリアとして大切にしている価値観にも重なる。

「以前、会社のミッションをアップデートした時に、全社を巻き込んでワークショップを実施したんです。その際にも、『ソーシャルインテリアに関わってくださる方々へ還元していきたいよね』という声が集まり、最終的に三方良しという考え方に辿り着いたんです」

顧客・パートナー会社・社内の三者すべてが前向きに取り組める関係性をつくること。その土台があった上で、お客様が真に叶えたいことを提案すること。それが飯田氏が考える「PMとしての提供価値」である。

 

3-2. 本音で話す関係づくり


全方位のバランスを取る上で欠かせないのが、率直に意見を交わし合える関係性の構築だ。

「お客様、パートナー会社、社内メンバーの誰かにだけいい顔をしていると、他の誰かに負担がかかるんです。だからこそ、すべての関係者に対して本音で話すようにしています。そのほうが自分自身も精神的に安定しますし、判断にも一貫性が生まれるんです」

しかし、信頼関係は一朝一夕に築けるものではない。最初からフランクに接するのではなく、相手の反応を見ながらアプローチを変え、少しずつ距離を縮めていく。

「いきなりラフに話すと、馴れ馴れしいと受け取られてしまうこともあります。ですから、軽い冗談を交えながら相手の反応を見て、少しずつ信頼を積み上げていく。長期プロジェクトも多いので、時間をかけて関係を育てることを意識しています」

本音で話す勇気と、相手を見て寄り添う繊細さ。その両立こそが、飯田氏のスタイルを形成している。PMとしてのキャリアをスタートする以前に、0から外部パートナーとの組織づくりに携わった経験が今に生きているとも語ってくれた。
 

IMG_9876.jpg

3-3.  自分以外を輝かせるPMとして


その仕事ぶりや顧客への提供価値の大きさから、PMとしてのキャリアを進めることを決意した飯田氏。実際に業務を経験することで、その在り方に対する考え方にも変化があった。

「自分が活躍して、目立ちたいと思っていた時期もありました。でも今は、お客様やパートナー会社など、自分以外の方にスポットライトが当たって欲しいと思っています。特に、お客様の窓口は総務の方が担当されるケースが多いのですが、会社にとって貢献度が大きい一方で、大変なプロジェクトを担当されていることをもっと知ってほしいと思っています」

複数のプロジェクトを経験する中で、関係者がいてこそのプロジェクトであることを学んだ。周囲が輝けるように支えることこそがPMとしての役割であり、醍醐味でもある。

 

3-4. 「挑戦」を歓迎する文化とともに困難を乗り越える


しかし、これまで順風満帆に進んできたわけではなかった。初めて担当したのは、1100坪にも及ぶ大規模なプロジェクトだった。経験がない中での大きな挑戦に、不安を覚えないわけにはいかなかったという。

「右も左も分からない中で、恐怖感はありました。ですがお客様の立場になって、『自分だったらどう動いてほしいか』を考え続けることで、次の一手が見えるようになりました」

緊張感のある大きな挑戦は、人を大きく成長させてくれる。この経験が功を奏し、大概の事柄に対して物怖じすることなく、前向きに向き合うことができていると飯田氏は語る。また、この裏にはソーシャルインテリアの文化も大きく影響していた。

「当時の上司に『死ぬわけじゃないから1回やってみな。死にそうになったら助けるよ。』と言われて(笑)でも、その言葉で腹を括って前に進むことができたんです」

挑戦を歓迎するソーシャルインテリアの文化は、新たな刺激を求めてきた飯田氏の成長を後押ししている。これまで挑戦を重ねてきた結果、PMとしてのキャリアは2年程ではあるものの、大規模かつ高難易度のプロジェクトを担当するまでになっているという。

 

IMG_9919.jpg

4章 複雑性を制する現場マネジメントスキル

4-1. 複雑な現場で掴んだ「頼る力」


これまで数多くのプロジェクトを担当してきた中でも、現在担当しているのは「居ながら工事」と呼ばれる難度の高いプロジェクトだ。

「複数フロアに及ぶ工事で、お客様も既に入居されている状況下なので、上から下の階へと順に工事を進める玉突き方式で、お客様の導線に合わせて徐々に工程を進める必要がある非常に複雑なプロジェクトです」

更に複雑である側面として、ソーシャルインテリアから参画しているのは飯田氏のみで、設計や施工はパートナー会社が担当しているプロジェクトでもあるという。そんな複雑性が極まりない状況に対して、どのようにパフォーマンスを発揮しているのだろうか。

「いかに周囲の力を借りるかが鍵になると思っています。設計や施工を担当されている方々を巻き込み、最適な役割分担を行いつつ全体管理を実施することで、お客様の安心感にも繋がっています」

難易度が高いプロジェクトであっても、取り組む姿勢は変わらない。関係者全員のバランスを取り、チームづくりを行っていくことで、プロジェクトの成功を導いていく。

 

4-2. 目的から逆算した提案


本プロジェクトを通して飯田氏が最も意識していたのは、”売上拡大に繋げる”というオフィス改修の目的を常にぶらさないことだ。

「例えば、このLEDビジョンって結構な金額がかかっているんですけど、お客様としてはもっと高い解像度を希望されていたんです。もちろん粗すぎてもダメですが、『その解像度が本当に必要なのか、お客様の売上にどう繋がるのか』という視点を裏テーマとして常に考えていました」

提案の際には常に複数案を選択肢として持ち、顧客と共に検討を進める。その中で、売上視点を過度に出しすぎると顧客の理想が叶わず、満足度にも影響してしまう。顧客から提案の意図を問われた際に、初めて回答する配慮も必要だ。
 

2E6A0068.jpg

5章 あくなき挑戦 - 業界の変革を目指して -

5-1. 「可変性」が生む面白さ


これまでの8年間を通じて感じているのは、インテリア業界の醍醐味は「可変性」にあるという。

「同じはプロジェクトひとつとしてありません。関わるお客様が違えば、現場条件も変わります。だからこそ毎回アプローチが異なり、その自由度が面白いんです」

一見華やかに映る世界だが、実際は泥臭い場面も多い。関係者の数が多い分、思い通りに進まないこともしばしばある。それでも、無数の制約や調整の中で最適解を探り、ひとつの空間を形にしていく過程にこそ、この仕事の真の面白さが宿っていると語る。

 

5-2. 信頼で選ばれるPMへ


これまでの様々な経験を通して、明確な価値観を基に顧客に対する提供価値を最大化してきた飯田氏は、今後どのような将来像を描いているのだろうか。

「業界内で『飯田さんとやると上手くいく』と噂される存在になりたいですね。メディアに出て有名になりたいとかはないんですけど、お客様から特命で声をかけてもらえるような存在になっていきたいと思います」

直接的にスポットライトを浴びるのではなく、コツコツと実績を積み重ねた先に、信頼という形で評価がついてくる。利他的な価値観を強く持つ飯田氏だからこそ、今後描いていく未来が今から楽しみだ。

 

5-3. 業界の変革に向けた挑戦


しかし、業界全体で見るとまだまだ旧態依然の実態がある。その現状に対して、ソーシャルインテリアでは現在、家具提案から見積・発注までを一元化できる業務管理クラウド「INTERIOR BASE」を開発している。

「いまだにFAXで発注している会社も存在している業界なんです。そんな古い商習慣を変えていくことに価値を感じています。小さなことかもしれませんが、業界を少しでも良くする取り組みが会社の存在価値にもつながると思っています」

業界の効率化と透明化を進めるこの挑戦は、一筋縄ではいかない。だからこそ挑戦しがいがある領域であり、『変化をつくる側』であり続けたいと語る。

 

編集後記

関係者全体の「バランス」を取りながらも、飯田氏が決して見失わないのは、「顧客の事業成果への寄与」という明確な目的だ。顧客の理想を形にするだけでなく、その空間が事業の成長にどう寄与するか。それを軸に、デザイン・コスト・スケジュールにおけるすべての最適解を導き出していく。

プロジェクトマネージャーとは、単に工程を管理する人ではない。あらゆる関係者をつなぎ、空間を通じて価値を生み出す橋渡し役だ。そしてその土台にあるのは、相手の反応を見極めながら丁寧に関係性を構築していく緻密なプロセスである。

論理と感情、本音と配慮、理想と現実。そのあいだを行き来しながら、最適な答えを探り続ける飯田氏の姿勢は、今後も多くの顧客満足度を生み出し、業界の中で注目されていく存在になっていくだろう。

文・Focus i DESIGN 編集部
 

株式会社ソーシャルインテリア

株式会社ソーシャルインテリア

インテリア業界に革命を起こすプラットフォーム企業として、 3つの事業を展開しています。

東京都 港区 南青山2-5-17 POLA青山ビルディング 9F
設立 2016
会社詳細を見る